いつかが来るその日までBlog

いつかが来る日まで日々瞑想している女子大生です。

ナイモノネダリな夢を見る夜に、な話

 

 

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「子供は皆んな、ただ1人を除いて、

いつか大人になります。

 

そして子供はまた、自分がいつか大人になって

しまうことを幼くして知るものです。

 

例えば、ウェンディの場合、

こんな風にしてそれを知りました。

 

2歳の時のことです。

 

ある日のこと、庭で遊んでいたウェンディは

花を摘んではそれを持ってお母さんのところに

走って行きました。

 

その姿はさぞかし可愛らしかったに

違いありません。

 

というのは、お母さんのダーリング夫人は

思わず胸に手を当てて、

 

"ああ、どうしてあなたは

永遠にこのままでいられないの"

 

と嘆いたからです。

 

母子の間で交わされたやりとりは

これだけでしたが、

ウェンディはまさにこの時、自分がいつか

大人にならなければならないことを

知ったのでした。

 

2歳を過ぎた人間はいずれ必ず

知ってしまいます。

 

2歳は子供時代の終わりの始まりなのです」

 

 

 

 

これはピーターパンとウェンディの最初の一節部分です。

 

今回謎の男性ボーカルユニット"John daring"から発表された、今をときめくwacciの橋口洋平さん作詞作曲のナイモノネダリ。

 


「ナイモノネダリ」Promotion Video Short Ver.

 

 

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この曲が"ピーターパンに恋したウェンディの結婚前夜"がテーマになっていると見た時からずっとずっと「好きーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」と好きが大爆発し、公開後から毎日エンドレスで聴いています、そんな私です。

 

好きすぎて好きすぎて毎日聴いても好きなので、

この曲を聴いて浮かんだことを乱文ではありますが

思うままに書き記しました。

 

 

 

"明日の朝はとても早いの

ドレス纏って 神に誓うの"

 

"とても優しい 素敵な人よ

私ね随分大人になったよ"

 

 

大天才橋口洋平様様も書かれている通り、また大天使奈緒様様も演じているPVの冒頭の台詞からも分かる通り、この歌は結婚式前日たまたま元カレとばったり(これも本当にたまたまなのかだけども)出逢い、苦しいくらい好きだったことを夜空を見ながらふと思い出すウェンディの歌です。

 

ここの「大人になったよ」という歌詞には色々な思いが込められていると思います。

年齢的なこと(結婚適齢期)な意味も勿論あると思いますが、1番はやはり「大人になったから」、ピーターパンとは結婚せずに別の人と結婚をしたんだという思いが大きく込められていると私は思います。

 

 

大人にならなければ、ずっとピーターパンという大好きな人と一緒にいられる。

 

でも多分、その恋は後々辛くなってくる。

 

この世界はある一定の時を経たら、大人になっていかないと「自由」を手に入れることは難しい。

 

 

きっとというか、多分ウェンディが結婚する人は凄く素敵な人。歌詞にもある通り、優しくて、素敵な、結婚するのに適した人。

 

「結婚するなら2番目に好きな人と結婚しなさい」という言葉がありますが、「確かにその通りかもしれない」とふとこの曲を聴きながら思っていました。

 

この言葉は元々戦時中、大好きな旦那さんが戦争に行って確実に生きて帰ってこれるか分からない・亡くなってしまう確率の方が高い時代に、1番大好きな人と結婚してしまうとその人が亡くなった時に生きるのが嫌になってしまって子育てが出来なくならないように言われ始めた言葉らしいですが、

 

私はそれよりも2番目に好きな人と結婚をすれば、一生1番大好きな人を好きでいられる幸せを得ることが出来るからかな、と考えています。

 

勿論1番大好きな人と結婚出来たらそれも幸せですし、1番大好きな人と一生一緒にいたいです。

ですが、結婚することで相手の人生を分けっこし合って共に生きていく中で、1番大好きな人を嫌いになっていくことがあったらそんなに悲しいことはありません。

 

だったら。

 

1番大好きな人は、大好きだった記憶のまま残しておきたい。

 

 

ナイモノネダリの中のウェンディも、きっとこのまま一緒にいたら嫌いになってしまうかもしれないし、幸せになれないだろうと思っていたのでしょう。

 

 

"夢に溺れず未来見据えて

空も飛ばずに 地に足つけて"

 

"とても真面目で素敵な人よ

私ね一度も泣いてないんだよ"

 

"あなたはまたこの世界のどこかで

子供のような無邪気さで無茶をして"

 

"誰かを泣かせているんでしょ

それ以上に笑わせてあげながら"

 

 

大人になってしまったら、空を飛ぶことは出来ません。

ウェンディは大人になってしまったので、ピーターパンと一緒にネバーランドに行くこと、すなわち夢の世界で生きることはもう出来ないのです。

 

ウェンディは未来を見据えて、自分自身がちゃんと幸せになれる素敵な旦那様を見つけました。

真面目で、優しくて、無茶をされたり翻弄されて泣かされることのない人。「こんなに好きだけど、このまま一緒にいても幸せになれないんだろうな」と、この先に思い悩んで泣くことのない人。

 

でもウェンディはピーターパンに対して、その泣いたことよりもそれ以上に笑わせてくれていたことについての方が覚えているんだなぁと。

「私がそうだったようにきっとまた別の人を泣かせて、そして笑わせてあげているんだろうな」と、夜空を見ながら考えているのだろうなと思うと何だか切なくて胸がいっぱいになりました。

 

 

"まだ誰のものでもない私の最後の夜に

貴方を思い出している 私はナイモノネダリ"

 

"迎えに来て連れ去ってよ あの日のようになんてね

私はこの道の先で ちゃんと幸せになるからね"

 

 

もうTwitterが「天才すぎる」と大フィーバーしていましたが、私もここの"まだ誰のものでもない私の最後の夜に"という歌詞がこの歌で1番好きです。

結婚前夜をこんな素敵かつ胸が苦しくなる言葉で表せられるのか!!!スキ!!!と聞くたびに地団駄踏んでましたし、またここの部分の歌い手さんの切なげな美声が相性抜群。

 

 

きっと今後、こんなに思い出すことは無い。

 

 

そんな最後の夜にピーターパンを思い出して、「あぁ私すっごく好きだったなあ」と思い出を振り返って。

 

「あの日のように迎えに来て連れ去ってよ」と思いながらも、「大丈夫。私、この先の道で大好きな人と結婚して、幸せになるからね」と強く意志を持っているウェンディは本当に強く素敵な女の子だなぁと思います。

 

 

"愛の代わりに自由手にして

明るく見えて実は孤独で"

 

"私はそんなあなたの影を

抱きしめてあげたい そう思ってた"

 

 

ピーターパンは自由で明るくて、子供が憧れる正義のヒーロー。

 

永遠の子供時代を手に入れた彼は誰よりも幸せそうに見えて、誰よりもネバーランドの中で孤独だったかもしれません。

ティンカーベルという可愛いパートナーはいるけれども、ネバーランドに連れてきたウェンディとジョンとマイケルは結局は「本当のお母さんに会いたい」「私、大人になる」とロンドンへ帰ってしまいました。

 

原作でのピーターパンは『僕たちはお母さんなんて馬鹿なものはいらないんだ』と言いながらも、ネバーランドにやってきたウェンディに対して迷い子達のお母さん的立場でいるようにさせています。

 

本当は、お母さんに目一杯愛されたかったのかもしれない。

 

自由でいたいけれども、大人になりたく無いけれども、愛されていたい。

 

 

まさにナイモノネダリ。

 

 

"この恋は2人をダメにする

分かっていて楽しさで蓋をして"

 

"理想や綺麗事だけを

魔法が解けてゆくまで唱えてた"

 

 

2番の歌詞からMVでも2人の間に

どこか不穏な空気が流れていくのが分かります。

 

1番での、路上ライブをして生計を立てている北川尚弥さん演じる元彼と奈緒さん演じる主人公の女性の出逢いのシーンから見ても女性側の方が金銭的余裕があることが分かりますし、また夜ご飯のお会計も全て主人公持ち。

 

またコインランドリーのシーンで真っ白なシーツを彼女に被せて無邪気に「ウェディングベールみたいな感じ?」と笑うところ、そのあと嬉しそうな顔をする主人公に対して「大丈夫大丈夫、意識はしないで(ちょっとなんて言ってるかは自信ない)」と笑いながら言うところを見ても、元彼の方は今を楽しむことだけに重点を置いていて未来のことは考えてはいなかったのかな…と思ってしまいます。

 

お金を出してもらって、「悪い」と謝る彼を見て「大丈夫だよ!」と言わずに何かグッと言葉をこらえるような彼女の表情を見ても、これは日常的にあることでお金を出してもらうのが当たり前のことのようになっていたのかな…

 

 

このままだと嫌いになってしまうかもしれない。お互い苦しくなって、依存関係になって、一緒にいることが辛くなってしまうのなら。

 

そうなってしまう前に、あなたを好きなままさよならをしたい。

そんな主人公の気持ちを思うと余りにも切ない。

 

 

ここで1番グッとくる、サビ手前の"理想や綺麗事だけを 魔法が解けてゆくまで唱えてた"という歌詞。

 

「彼の夢を応援していたいから」「今はまだ芽が出ないだけでもう少し我慢したら」「お金なんて無くても愛さえあれば」というタラレバの呪いを、自分で自分にかけて魔法が解けないようにしていたところです。

 

 

彼女は魔法にかかっていたかったんです。だって好きだから。一緒に笑い合っている時間が幸せだったから。

だから、魔法が解けないように自分で。

 

 

でも魔法はいつか終わるもの。信じなくなってしまえば、魔法は効かなくなってしまう。

 

まるで大人になって魔法の粉をかけられても、少しだけ浮くことしか出来なくなってしまったウェンディのよう。

 

魔法を信じる心がなければ、空を飛ぶことは出来ないのです。

 

 

"まだ誰のものでもない私の最後の夜に

あなたを思い出している 私はナイモノネダリ"

 

"もう一度連れ出してよ あの人同じ夜空へ

なんてね もう私きっと あんな風には飛べないけど"

 

 

 

薬指にきらりと光る綺麗な婚約指輪を窓辺で夜空にかざしながら、ウェンディはピーターパンと一緒に右から二番目の星を目指して飛んだあの夜の空のことを思い返していたのでしょう。

 

もう自分は飛べないことを知りながら、「もう一度あの夜空へ連れ出してよ」と想うウェンディ。

窓辺で物思いにふける奈緒さんの表情がめちゃくちゃ好きです。

 

 

"あなたとの出会いがなければ

今の私はここにいないでしょう"

 

"ありがとう 何て言うつもりは無いけれど

忘れないよ その笑顔"

 

 

 

恋の終わりに「二度と会いたくないあんなやつ!」と思ってしまうよりも、「私ちょっと成長出来たな」と思える恋が私は理想ですし、素敵だなぁと思っています。

 

ここの"ありがとうなんて言うつもりはないけれど 忘れないよあの笑顔"という歌詞とこの部分の元彼さんのほっぺをむぎゅっとして涙目で笑う主人公の姿が凄く好きなのですが、確かに「出会ってくれてありがとう」という歌詞だけだったらどこか薄っぺらくなっていたと思います。

 

 

嫌なこともあったし奔放さに泣かされたこともあるから一概にありがとう!では無いけど、出会って成長出来た。好きになれてよかった。もう会うことはないだろうし、会わない。でも、その笑った顔は忘れないからね。

 

 

そして主人公は、元彼の元を笑ったまま去ります。

でも、背中を見せた途端に溢れてくる涙。

また泣かせたなー!!と元彼にオーイ!と思いながら、私も思わず主人公と一緒に泣いていました。

泣くよね。好きなままお別れするの、辛いもんね…ウェンディよしよし…

 

 

"まだ誰のものでもない 私の最後の夜に

あなたを思い出すなんて 私は 私は"

 

"まだ誰のものでもない 私の最後の夜に

あなたを思い出すなんて

私は ナイモノネダリ"

 

"振り返るのはもう終わり

描いた未来の始まり"

 

"私はこの道の先で

ちゃんと幸せになるからね"

 

 

ウェンディは「もしも、ピーターパンと結ばれていたら」と考えることもあったと思いますが、過去に浸り続けるのではなく、もう未来をしっかり見ています。

 

きっとこの先思い出す回数は少なくなって、思い出す時間も短くなって、頭の奥底のところで、小さく。

小さく、きらりと光る思い出としてピーターパンの思い出は残ってぼんやりとしていくのです。

 

それで良いのです。

 

まだ2人とも大人だけど、2人とも子供だったあの魔法にかかっていた時間は、永遠にウェンディの夜空の中で小さく煌めいて少しずつ、少しずつ。

 

小さくなって、見えなくなっていくのです。

 

 

"明日の朝はとても早いの

ドレス纏って神に誓うの"

 

"早く寝なくちゃ肌に響くと

窓辺に頬杖 空を見上げて"

 

"私ね 随分大人になったよ"

 

 

 

見えなくなってしまっても、夜空を眺めながら物思いにふけるウェンディは、いつまで経っても綺麗よ。

 

 

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元彼役の俳優さんが着ているモッズコートがどこかピーターパン味があったり、

橋で手を取るところが上↑のピーターパンとウェンディの構図に似ていたりと、随所にピーターパン要素が詰め込まれていて素敵なPVなので是非。

 

歌い手さんたちの声も暖かくて素敵です。

 

 


「ナイモノネダリ」Promotion Video Short Ver.